第22回研究例会

■日時 2018 年 9 月 22 日 (土曜日) 14:00–17:30 

■場所 青山学院大学総合研究ビル(正門を入ってすぐ右の建物)8 階第 11 会議室


■発表プログラム

14:00 〈開会〉 


14:05–14:50 

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』の再考 ——梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』との比較——

劉冠玟 (白百合女子大学文学研究科児童文学専攻博士課程後期)

■ 『君たちはどう生きるか』(新潮社、1937 年)は 80 年前に出版されたが、2017 年 8 月に漫画化されたとで、 原作である当書も 2017 年の話題作となり、再び注目されている。しかし、『君たちはどう生きるか』がこのよう に再び脚光を浴びる前に、児童文学作家の梨木香歩がいち早く、2011 年に当書をモチーフに『僕は、そして僕 たちはどう生きるか』(理論社、2011 年)を創作した。これは「現代版『君たちはどう生きるか』」と呼ばれたこ ともあるが、両作品を同時に取り上げて論じる研究は数少ない。 したがって、本発表では、『君たちはどう生きるか』と『僕は、そして僕たちはどう生きるか』を対象に考察す る。まずは、両作品にみられる物語の構成や表現の特徴などを比較しながらテクストを分析する。さらに、両作 1 品のテクスト分析に基づき、それぞれが創作された当時の社会背景なども考察し、作者たちの創作意図を解明す る上に、『君たちはどう生きるか』の現代的意義を再考する。 


14:55–15:10 〈休憩〉 


15:10–15:55 

家庭における礼儀作法教育の歴史—19 世紀末フランスの女性誌を手がかりとして

井岡瑞日(大阪総合保育大学講師) 

■ フランスにおいて、19 世紀は礼儀作法がブルジョワジーの処世術として重視され、礼儀作法書が数多く刊 行された時代である。とりわけ女性向け礼儀作法書が飛躍的発展を遂げる 1860 年代以降は、子どもに礼儀正し さを身につけさせることを母親の責務だとする見方が広まっていったと考えられる。本報告は、礼儀作法書の熱 心な愛読者層であった小ブルジョワジーの家庭で、子どもに礼儀作法を教えることの重要性がどの程度認識さ れ、その目的や意義がどのように考えられていたかを明らかにするものである。このことを通して、当該時期の 礼儀作法教育の特質をその歴史全体の中に位置づけて検討するとともに、拡大の途上にあった小ブルジョワジー にどのような家庭教育モデルが受容されつつあったのかについてもあわせて考察してみたい。なお、史料とし て、1879 年の初刊以降、小ブルジョワジーの主婦に多大な人気を博していった女性週刊誌 Le Petit Echo de la Mode に着目する。 


15:55–16:10 〈休憩〉 


16:10–16:55 

ベラルーシ共和国の人口動態・保育の特徴と子どもの権利の実態 (2) ――乳幼児と保育の現状――

村知稔三 (青山学院女子短期大学) 

 ■ 本発表は、第 19 回研究例会 (2017 年 9 月) の同名の発表 (1)(仮題「ベラルーシ共和国の人口動態の特徴」) の続報として、「乳幼児と保育の現状」について論じるものである。当日は、最初に前回のまとめにふれたあと、 1) 乳幼児の誕生と生活、2) 教育制度と保育施設網、3) 保育内容・方法と保育者養成の順に述べていきたい。ベ ラルーシでは主な就園対象である 3〜5 歳児の就園率は 95 %を超えている。そのため、同国の保育界の中心的 な課題は、量的な拡充というよりも、高等教育機関における保育者養成の主流化や、一定水準を超えた多様な保 育プログラムの検討・普及などの質的な整備に置かれている、といった点について報告したい。

世界子ども学研究会

世界子ども学研究会は、「世界各地の社会・歴史・文化の中の、子どもと青年」を研究対象とした研究会として、2009年にスタートしました。歴史学・教育学・保育学・発達社会学・(児童)文学・音楽学などの諸分野間での、グローバルな学術交流を行なっています。本研究会にご関心のある方は、以下のアドレスまでメールでご連絡ください。 office-children(アットマーク)freeml.com