第24回研究例会

■日時 2019 年 9 月 28 日 (土曜日) 14:00–18:00 

■場所 青山学院大学 総研ビル (14 号館) 5 階 14509 号室 

(渋谷区渋谷 4-4-25  地下鉄「表参道駅」から徒歩 5 分/ JR「渋谷駅」から徒歩 15 分)


発表プログラム (*時間枠は 1 セクション:発表 30 分、質疑応答 15 分、合計 45 分) 

14:00 〈開会〉 

14:05–14:50  保育絵本をめぐる母役割についての史的考察 —1960 年代の『ひかりのくに』を手がかりとして 

井岡瑞日(大阪総合保育大学)

 ■ 高度経済成長期の真っ只中にあった 1960 年代、ブーム前夜にあった絵本はどのように消費されたのか。また、それは子育てや施設保育の現実の変容とどのように相関しあっていたのか。これらの問いに迫るために報告者が着眼したのが、第二次世界大戦直後から創刊・復刊が相次いだ月刊の保育絵本である。幼稚園・保育所への直販により全国的に広く普及した保育絵本は、出版社から園へ、園から家庭(の母親)へと至る一直線の流通システム上に成り立つがゆえ、異なる 3 つの立場にある大人たちの期待や思惑を可視化しやすい媒体であるといえる。本報告では、これら 3 者の間に形成される社会関係に留意しつつ、保育絵本『ひかりのくに』において、子どもの母親にいかなる役割が求められたのかを明らかにする。一連の分析を通じて、人間形成史の文脈において保育絵本が果たした役割について検討する。


14:55–15:40 ソクラテス的対話から見た「子どもの哲学」

太田明 (玉川大学) 

■ 2019 年 8 月2日– 7 日、ソクラテス的対話の研究ブループ (GSP, SFCP)の国際会議・ワークショップが(ハノーファー・ドイツ)開催された。この国際会議については以前に本研究例会で報告したことがあるが、今回の会議・ワークショップの様子を簡単に紹介する。 また、この会議の直前に、「子どもの哲学」に関する研究論文に対するコメントを求められ、ソクラテス的対話の観点からコメントした。このコメントをもとに、「子どもの哲学」は「大人の哲学」とどう違うのかを中心にして、ソクラテス的対話が考える「子どもの哲学」について考察する。


15:40–16:00 〈休憩〉 

16:00–16:20 〈自己紹介、業績紹介〉 

16:20–16:50 シンポジウム企画:シンデレラ譚にみる比較文化 

金子真奈美(横浜商科大学特任講師)、鈴木明日見(駒澤大学非常勤講師) 

■ シンデレラ譚は非常に有名なおとぎ話の一つであり、東南アジア、東アジア、インド、アフリカ、ヨーロッパなどほぼ世界中に存在する。ヨーロッパにおいても、数百のバージョンがある。2020 年秋の第 26 回研究例会にて開催予定の本シンポジウムは、全世界におけるシンデレラ譚を児童文学、歴史学、教育学、哲学、社会学など多様な分野から比較し、その取り上げ方や文化的意義を明らかにするものである。本報告ではその企画構想を紹介し、発表者およびコメンテーターを募りたい。


16:50–17:30 独立後のカザフスタン共和国の人口動態と子どもの権利 (1) 

村知稔三 (青山学院女子短大) 

■ 本発表は、ソ連解体後のロシアとの比較を念頭に、その南隣に位置するカザフスタンの子どもの権利について概観する第 1 報である。具体的には、1991 年末の独立から約 30 年間の同国の動向を整理し (第 1 節)、関連する先行研究と利用する資料について述べ (第 2 節)、人口動態の特徴をまとめた (第 3 節)。その結果、次の点が明らかになった。体制転換の型として「政治的権威主義」「急進的市場経済化」に区分される同国は、中央アジア 5 か国の中では珍しく、一人当たり GDP も 1 万ドルの壁を越え、格差も小さく、貧困率も低下しており、子どもとその家族の状態の改善や子どもの権利保護を進めるうえで好条件を備えている。また、社会における子どもの位置は量的・質的に比重を増しており、その権利の保護と保障が社会の今後を左右する問題となっている。 


17:30–18:00 〈諸連絡〉 

18:00 〈閉会〉

世界子ども学研究会

世界子ども学研究会は、「世界各地の社会・歴史・文化の中の、子どもと青年」を研究対象とした研究会として、2009年にスタートしました。歴史学・教育学・保育学・発達社会学・(児童)文学・音楽学などの諸分野間での、グローバルな学術交流を行なっています。本研究会にご関心のある方は、以下のアドレスまでメールでご連絡ください。 office-children(アットマーク)freeml.com