第32回研究例会

■ 日時 3 月 30 日(土)13:00-17:00


■ 対面会場 明治学院大学 白金キャンパス15 号館(高輪校舎)3 階研究推進会議室2


■ プログラム

13:00 開始

13:05-13:50 「独立後のアゼルバイジャン共和国の人口動態と子どもの権利(4)

――代替的(社会的)養護の規定と実態を中心に――」

村知稔三(明治学院大学国際平和研究所研究員)

本発表は、南コーカサスのアゼルバイジャン共和国における子どもの権利と保育・教育・福祉の実態に関する一連の研究発表の 4 回目であり、副題にある代替的(社会的)養護(※)を取り上げる。その構成は次のとおりである。「はじめに」で課題の限定や利用する資料などについて説明し、第 1 節で国際的な代替的養護の区分と定義、アゼルバイジャンの制度と法的規定について紹介する。第 2 節では、代替的養護の量的推移と関連政策の動向について検討する。なお、ここでいう「代替的(社会的)養護」とは、保護者がいなかったり、養育できなかったりする子どもを公的責任で社会的に養育・保護するとともに、養育に困難を抱える家庭への支援を行なうことを指す(日本のこども家庭庁の定義を修正)。

13:50-14:00 休憩


14:00-14:45 「エカテリーナ 2 世の女子教育にみる啓蒙観

——スモーリヌィ女学院の設立をめぐって——」

櫻井あゆみ (駒澤大学文学部歴史学科 4 年)

エカテリーナ 2 世は、ロシアのロマノフ朝第 8 代皇帝である。彼女はドイツ出身であったにもかかわらず、後世には「エカテリーナ大帝」と呼ばれる存在になった。また、彼女は啓蒙専制君主を自称し、みずからロシア人の啓蒙・教化に乗り出した。その中でも代表的な事業が、1764 年のスモーリヌィ女学院(以下「女学院」という)の創設である。

本発表では、スモーリヌィ女学院が果たした役割から、この女子教育事業が当時のロシアの教育に「先進性」をもたらしていたという評価を、教育的視点と、ロシアの啓蒙主義と子ども観研究の視点から検討する。それを踏まえたうえで、エカテリーナ 2 世が女学院を創設するにあたってどのような啓蒙観を持っていたのか考察していく。


14:45-15:00 休憩

15:00-15:30 近況報告


15:30-16:30 「子どもの法的処遇からみる中世初期家族の変容」

鈴木明日見(駒澤大学非常勤講師)

本発表は、7 世紀から 9 世紀のイタリア半島で成立したランゴバルド諸法およびその注解書における子どもの法的処遇を分析し、そこから読み取れる家族のあり方とその変容を検討したものである。法典に規定された家族を分析することで、当時の法の従事者達が法的な家族をどのように考えていたかという法理念としての家族を分析することになる。加えて、改訂法と注釈書をみることで、その理念が現実に合わせてどのように法に反映していったのかという実態の家族像の分析にもつながる。またその変容の過程を長期的に追うことで、当時の社会はどのように変容していったのかが明らかになる。つまり、家族の理念だけでなく、その実態をも明らかにすることで、ゲルマン社会から中世社会へ移行していく家族の姿を明らかにする。

16:30-17:00 諸連絡

17:00 閉会

世界子ども学研究会

世界子ども学研究会は、「世界各地の社会・歴史・文化の中の、子どもと青年」を研究対象とした研究会として、2009年にスタートしました。歴史学・教育学・保育学・発達社会学・(児童)文学・音楽学などの諸分野間での、グローバルな学術交流を行なっています。本研究会にご関心のある方は、以下のアドレスまでメールでご連絡ください。 office-children(アットマーク)freeml.com